お笑い芸人
池田直人さん
『ウルトラジャンプ』30周年を記念してお笑い芸人の池田直人さんにインタビュー。32歳を迎えて『ウルトラジャンプ』とほぼ同じ年月を歩んだ池田さんに、『PEACE MAKER』『ノー・ガンズ・ライフ』『魔法少女201』の3作品を読んでいただき、感想を伺いました。マンガの内容をお笑いや自分に置き換えてみた感想は、とても興味深いです!
はじめに
Q
―― まずは自己紹介をお願いいたします。
池田池田直人です。主に美容関係と芸人をやっております。美容から芸人ではなく、芸人から美容に辿り着きました。コント師をしておりまして、毎日YouTubeにコントを上げています。ジャンボたかおとお笑いコンビをしています。
『PEACE MAKER』について
Q
―― 作品を読んだ感想をお聞かせください。
池田3人のアンバランスだけど、なんかワクワクする感じが好きです。こいつら何を起こしてくれるんだ?っていう期待感があって、めちゃくちゃ楽しそうな作品だなって思いました。あと天才肌の主人公が好きなので、見た瞬間、一気に全巻購入しました(笑)。
Q
―― 気に入ったキャラクターは誰でしょうか? その理由もお聞かせください。
池田ベタですがホープです。クールだけどお馬鹿で、でも芯がある感じがめっちゃ好きですね。あと芯のブレ方も面白いなと思いました。人は撃たない、デュエルには出ないって自分で決めているのに、仲間のためだったらデュエルに出ちゃうっていう。自分の芯を曲げてでも、もっと大切なものがあるんだっていうホープが格好いいなぁと思いましたね。あと銃は強いけどギャンブルに弱いっていうのも人間らしさがあって可愛いですよね。
Q
―― 一緒に行動しているカイルとニコラについてはどんな印象を持ちましたか?
池田カイルは、ホープの足りないものを補ってくれるっていう印象ですね。お笑い芸人に置き換えると、相方って足りない部分を補ってくれる存在だったりするんです。僕が相方にジャンボ(たかお)を選んだのは、もう自分にパワーが圧倒的にないって思ったからなんです。ジャンボはパワーがあったので、その自分の足りない部分を担ってくれるだろうと…。ホープがギャンブルも出来ず、デュエルにも参加しなくてお金の工面ができないなら、カイルが工面してあげるっていう感じですよね。カイルは強くないけど、頭の良さがはある。ニコラも頭がいいんだろうなって思います。段々とニコラが大切な存在なんだと気付きだして、ホープたちが守ろうとする感じが、めっちゃキーマン感があっていいですね。
Q
―― ちなみに敵キャラクターで印象に残ったキャラクターいますか?
池田ガトリングガンを持っていたゴードンがおもろかったです。ハンドガンで撃ち合っていたと思ったらあんなでかい銃を振り回して、ああ、こういう世界観なんだって(笑)。
Q
―― 一番印象に残ったシーンはどこだったでしょうか? その理由もお聞かせください。
池田ショッキングだったのが、第1話でホープの親父は人を撃たないって言っていたのに、グレッグはそのお父さんの影響でデュエリストになってしまったとわかるシーンです。ホープの父親に出会わなければ銃に憧れを抱くこともなかったと思うんですよ。第2話でホープが親父が持っていた銃の話をカイルにするシーンで、親父が銃を使って平和を作ろうとしていたというくだりがあるんですが、グレッグは親父が目指していたものとは違う方向に進んでしまい、命を落としてしまったっていうのがショッキングでしたね。
Q
―― 本作では銃士による息詰まる決闘(デュエル)が印象的ですが、ガンアクションシーンについてはどのような印象を持たれましたか?
池田デュエルのシーンが一瞬っていうか、美しいなって、最初の試合を見た時に思いました。デュエルするまでの前振りは長いんですが、でもデュエルが始まったらめっちゃ早くて「ドン!」って一瞬で終わるのがすごく印象的でしたね。あと、ホープの努力シーンが全然描かれてなくて、指にタコができるくらい銃を練習したみたいなシーンがあってもいいのに、それが無いっていうのは、ホープは本当の天才なんだっていう描き方をしているんだろうなと…。銃の撃ち方にも色々な種類があるんだっていうのも面白かったですね。
Q
―― 本作はアメリカ西部の開拓時代をモデルにしていますが、もしその時代(世界)に行けるとしたらどんなことをしたいですか?
池田まず当時のお酒を飲みたいです。ラム酒とかどんな味だったのかな?と。あと、今のおもろいゲームを向こうの人たちに教えて頭おかしくさせたいですよね(笑)。ボードゲーム持って行ったり、人狼ゲームとか教えたいですよね。でも人狼ゲームだとリアルに人が死にそうですよね、この世界だと(笑)。たけのこニョッキとか教えてもおもろいかもしれないです。色々な娯楽を教えたいですね。デュエルやカジノ以外にももっと娯楽あるぜって。みんなの肌管理もしてあげたいですね。絶対栄養取れてないですし、紫外線や乾燥もやばそうです。
Q
―― この作品を人に薦める時に、ぜひ観てほしいポイントはどこでしょうか?
池田王道の組み合わせの3人組が旅をしていく感じとか、天才主人公が好きな人はどハマりすると思います。あとはデュエルのシーンですね。俺は長く戦うバトルシーンも好きですけど、この作品のような一瞬の儚さがあるデュエルシーンもオススメポイントです。デュエリストたちの誇り、死ぬこともよりもプライドが大切っていう感じも重くて心に響きます。
『ノー・ガンズ・ライフ』について
Q
―― 作品を読んだ感想をお聞かせください
池田スピーディーなマンガだなと思いました。依頼者や出てくる敵とか、ずっとテンポ感よく見せられてるなっていう感じがします。そしてインパクトのあるシーンで凄い印象づけられるし、凄いマンガだなと、びっくりしました。十三は頭に銃が付いてて、表情とかわからないはずなのに、なぜか表情がわかるっていう。「これは何でなんだろう?」って思いましたね。身体の描き方なのか、仕草とかなのか…。このキャラクターで物語を描ききるという、作者の意気込みが凄いと感じました。
Q
―― 気に入ったキャラクターは誰でしょうか? その理由もお聞かせください。
池田2巻に登場した女の子の背中から出てきたゴンドリーがめっちゃ怖かったです。このシーンを見た日にジャンボが着てた服が背中にチャック付いてたんですよ。またいいタイミングで着てて、このシーンを思い出してめっちゃ怖かったっすわ(笑)。敵の描き方が、いい意味で気持ち悪くて印象に残りますね。あと、1巻に登場した鉄朗が最初に乗り移っていた「体」ですね。頭を撃ち抜かれた状態でも十三と喋り続けて、最後に「良かっ」で終わるじゃないですか。こいつに結構愛着湧いてたのに、これでもうお終い?みたいな感じになって…。結構好きだったけど、こいつは鉄朗自身じゃないんだよなっていうのが、最初は頭が追いつかなくて、めっちゃ重く感じました。
Q
―― 「依頼と依頼人は必ず守る」という十三のハードボイルドな姿が魅力的ですが、十三の行動やストーリー展開についてはどのような印象を持たれましたか?
池田十三の生き方が、こうするしかなかったっていう風に見えて、今のこの姿で、今の自分のできることってこれだよねって生きている感じがシンパシーを感じたんです。個人的な話になっちゃうんですが、芸人になる時、自分は大喜利もできてモノマネもできてコントも漫才もビンネタも全部できるものだと思ってたんです。でも1年目、2年目、3年目と続けるうちに、コントの方が得意なのかな? 漫才苦手だな…とか色々思うようになって、じゃあ自分にできることって何だろう?って考えて、今のようなSNS頑張るかとかコント頑張るかとか、毎日何かを上げ続けることだったらできるかって考えるようになったんです。そこにたどり着いたのが13年、まだ13年って感じもしますけど、要らないものを削ぎ落としてここに来たっていう感じなんです。十三も記憶が無く、この姿で存在しているんだから、こう生きることならできるかって、辿り着いたのが今の姿だと思うんですよね。
Q
―― 一番印象に残ったシーンはどこだったでしょうか? その理由もお聞かせください。
池田2巻のキャサリンのエピソードですね。十三に対して「私の引き金は私の意思で他の誰でもない私が引いた」って言うんですが、覚悟を持って行動する時はそうだよな、罪も含めて自分で引きたいと思うよなと印象に残りました。
Q
―― 発達したテクノロジーと大戦による荒廃した世界がサイバーパンクさを感じさせますが、世界観に関してはどのような印象を持たれましたか?
池田ページをめくるたびに常に新しい情報が与えられるので、常に「なるほど!」という感じで読んでました。1ページに対する情報量が本当に凄くて、とにかく「このページを楽しもう!」みたな感じでしたね。あと、作中で「種ヶ島」っていう煙草が出てきて、それが拡張者の身体機能維持に役立っているっているのもめっちゃ面白かったですわ。
Q
―― もし「拡張者(エクステンド)」になれるとしたら、どんな“拡張”をしたいですか?
池田マジで運動できないんですよ。本当にみんなを冷めさせるくらいできなくて…。一応、走るのはできるんですけど、球技が駄目ですね。なので腕周りの筋肉を拡張してちゃんとボールを投げられるようにしたいです。このままだと将来、子どもとキャッチボールする時にマジで「ごめんなさい」って言うしかないと思うので(笑)。カエル倒立して骨折したことあって、骨も拡張したいです。あと、泳げるヒレが欲しいです! 見た目わかんないくらいにお尻にヒレがあるくらいの。あ、でもパンツとか特殊にしないと目立ちますね。収納できる感じのヒレにしたいです。
Q
―― この作品を人に薦める時に、ぜひ観てほしいポイントはどこでしょうか?
池田もう「十三おもろいぞ!」ってことですね。拡張者たちもいろんなタイプが出てくるし、いろんなパーツで拡張されている感じが乗り物感覚っていうか、そんな不思議な感覚もオススメですね。拡張者の出てくるペースもエグくて、全力疾走の障害物競走みたいな作品です。そのテンポ感もいいと思います。
『魔法少女201』について
Q
―― 作品を読んだ感想をお聞かせください
池田もう可愛かったですね。いいエロ具合と言いますか。可愛らしさとエロ具合のバランスがいいと思いました。セクシーフジヤマが可哀想すぎますよね。ブラック企業で抜けられなくて、働かされて、でもなんか可哀想なはずなのに悲壮感を感じないんですよね。まむからお菓子もらったとか、推し活とかで、ちょっとした幸せを大きな幸せとして捉えられる人間なんだなって思います。きっと藤山に彼氏ができたら、アクセサリー屋さんに入ってひとつアクセサリーを買ってもらっただけですっごい喜んでくれそうですよね。そんな藤山が印象的でした。
Q
―― 気に入ったキャラクターは誰でしょうか? その理由もお聞かせください。
池田やっぱり藤山ですかね。幸せにしたいですよね。小さい喜びを大きく喜べる人って素敵だと思います。純粋に喜んでいるとところが可愛いんですよね。
Q
―― 藤山のライバルとなるプリンセス・マムについてはどのような印象を持たれましたか?
池田まむはマジ可愛かったですね。この悪気のない、本当に10歳の少女らしい可愛らしさが出ているなと思いました。表情の描き方が本当に上手くて、まむの表情にめっちゃキュンキュンしました。赤ちゃんのような可愛さだけど、とてもしっかりしていて、みんなから愛されている。第4話の商店街を歩いているシーンはみんなに話しかけられていて可愛かったですね。かと思えばたくさんお金を持っているのに1日1000円しか使えないっていう。そのあとのUFOキャッチャーのエピソードもみんなが優しくていい話でした。
Q
―― 一番印象に残ったシーンはどこだったでしょうか? その理由もお聞かせください。
池田5話の藤山の「その日藤山のお尻は完全に死んだ」っていうエピソードが面白かったです。フラワーバッド団の幹部がフジヤマのケツを叩くシーンも好きですね。何度もお尻のネタを重ねてくる感じが良かったです。あと、まむが変身する時、「ママに人前で変身しちゃダメ」って言われてて、藤山の前でやったら、エフェクトが物理的に飛んで来るのって、マジおもろかったですね。やっぱり「振り」って大事ですね。「人前で変身しちゃダメ」って言ってからの物理的にエフェクト飛んできて藤山が死にそうになるっていう流れが、作者さんめっちゃお笑い好きなんじゃないでしょうか。藤山のお尻のネタもかぶせ、かぶせですしね。
Q
―― 魔法少女には数々の「鉄の掟」がありますが、世界さんの中での「掟」や「決まり」などがあればお聞かせください。
池田暑い、寒い、疲れた、しんどい、忙しいみたいな言葉は言わないって決めています。マイナスのことを言ってもしょうがないなって、暑いって言ったら暑く感じちゃうし、疲れたって言ったら疲れ感じちゃうんで、言い方を変えています。例えば、暑い日は「今日めっちゃ涼しいところに行ったら気持ちいいだろうな」とか、寒い日は「うわ、これ鍋うまいで」みたいな。言い方ひとつで変わると思うんですね。あと、今年は肌管理とダイエットのためにグルテンフリーをやっています。仕事の場合は仕方ないですが、それ以外では取らないようにしています。そのおかげで便通が良くなりました。肌トラブルもなくなりましたね。
Q
―― セクシーフジヤマへのお仕置きに妙味を覚える社長ですが、世界さんはどういったシチュエーションなどに妙味を覚えますか?
池田朝ご飯を食べられた時ですかね。朝ご飯を食べられた時は、めっちゃ「よっしゃー!」ってなります。でもほぼ食べられないんですよね。朝は苦手なので…。例えば朝の9時に起きるとしても、0時に寝てもどうせ9時には起きられないから夜更かしした方が楽だって思っちゃうんです。どっちみち9時に起きなきゃいけないんだったらギリまで起きてた方がいいかってなっちゃうんですよね。だから朝を優雅に過ごせたらもう勝ちですよね。
Q
―― この作品を人に薦める時に、ぜひ観てほしいポイントはどこでしょうか?
池田かわいいエロですかね。過激なエロじゃなく、かわいいエロがポイントだと思います。藤山とまむのほんわかした生活をずっとのぞき見していてる感じがしていいんですよね。ハラハラドキドキした時間に追われる現代社会で、信号点滅したらみんな走るような、電車の乗り換えに失敗しただけでがっくりしちゃうような世の中なので、この作品でゆっくりとした、ほんわかエロを楽しんでほしいです。
最後に
Q
―― 『ウルトラジャンプ』30周年について、コメントをお願いします。
池田30周年おめでとうございます! 俺が今年32歳なんで、『ウルトラジャンプ』さんとはほぼ同い年ですね。小さい頃に読んだマンガって、「なんでこんなに一生覚えてるんだ!?」ってくらい覚えてるじゃないですか。だからもっと中学生の時にマンガを読んでおけばよかったって思うんです。「あー、これ好きだった!」ってすぐに思い出せる、このマンガのタイムカプセル感って素敵ですよね。今これを見ている学生さんがいたら、勉強の時間を少しだけ削ってマンガの時間に充ててもいいんじゃないかなって思います。きっと大人になった時に素敵な思い出になると思いますよ。
お笑い芸人
池田直人 さん
Profile
お笑い芸人
池田直人 さん
ジャンボたかおとお笑いコンビ「レインボー」として活躍中。コントでは女性役を演じることが多く、メイクやコスメに関する情報をYouTubeチャンネル「レインボー池田直人の美しちゃんねる」にて配信している。